Apple Monday

髪を乾かし、着替えを済ませバスルームから出ると
リビングで花井君がリンゴを剥いていた。

「まりあさん、リンゴ食いますよね?」
「・・・・・うん」

慣れた手つきでリンゴの皮をシュルシュルと剥く花井君
「・・・上手いね」
「あはは・・・妹達が小さい頃家でよく剥いてやってましたから」
と彼はテレながら薄く笑った

大きな左手がくるくるとリンゴをころがし、リンゴの鮮やかな赤い衣を
右手にそえた果物ナイフが脱がし、真っ白な身にを露わにさせる
鮮やかな赤い衣は最後まで綺麗に1本の線で繋がっている
太い指が滑らかに動き、なんだか見とれてしまう


手早く4等分し、種と芯の部分をとりのぞく
ガラス皿に盛られたリンゴ4切れ
その1切れに楊枝を刺し、彼は私の前に差し出した
「どうぞ」
「ありがと」


シャクッ・・・と硬い感触ではないモサモサとした柔らかい感触に拍子抜けする
「ナニコレ!?・・・柔らかいじゃない!」
「あ・・・そっか・・・ちょっと日が経ってたヤツなんで・・・」
「私は固いヤツの方が好きだなぁ・・・」

私は手元の一口かじったリンゴを見た
やっぱり古いのはおいしくないよね

はぁ〜とため息が出る
おいしい時期はとうに越してしまったこのリンゴ

硬く瑞々しいリンゴは美しい
そして食感がよく美味しい

時間が経ってしまったリンゴは柔らかく形も衰える
そしてなによりも食感がダメだ





このリンゴ・・・私に似ている気がする・・・




いつも若い子に囲まれているから気分も若い気でいたけど・・・
確実に自分も年を取っているんだなぁ・・・と実感した
まぁ・・・いつまでも若くいられるとは思っていないけどね

ふう〜・・・ともうひとつため息をつく


「まりあさん?食べないんスか?」
「・・・・・」

「あっ、リンゴうさぎさんにした方がよかった・・・とか?」
「・・・ねぇ、花井君?このリンゴ好き?」

「え!?」

「柔らかくて食感も悪いこの古いリンゴ・・・好き?」
私はじっと花井君の目を見つめて聞いた


「・・・十分甘いですし・・・うまいと思いますけど・・・
俺はこのリンゴ嫌いじゃないスよ?」
と花井君は不思議そうな顔でモサモサとリンゴを頬張っている

「そうかなー・・・新しいリンゴの方が絶対おいしいよ!
花井君って変!変わってるよね〜・・・」

それを聞いた花井くんはちょっとムッとした表情になった
「確かに時間が経ったリンゴは生で食うには新しいリンゴに劣りますけど・・・
でも手を加えればとびきり美味くなるんですよ?知ってました?」

「え?」
「ちょっとソレ貸してください」
そういって花井君は私の手にしたリンゴと皿に残っていたリンゴを持って、
さっさとキッチンの方へ行ってしまった。