Apple Monday
私は怒りながら目の前のテーブルを思いっきり叩いた
空になったお皿とフォークが叩いた振動で耳障りな音を立てたが、
私は構わず続けた
「っ!!ちょっとー!!何なのよ!人が真剣に・・・」
振り上げた両手を一瞬の隙を彼につかれ、つかまれた。
右側のソファへ全身でダイブする私、その上に花井君が覆いかぶさり
思いっきりぎゅう〜っと抱きしめられた
「あ〜・・・笑った!笑ったわぁ〜!!
ホント・・・まりあさんって愛すべき馬鹿っスよね〜」
花井君は楽しそうに容赦なく酷いセリフを吐いた
「なっ!?・・・私のこと馬鹿にしてる!?」
「はい、思いっきり!」
にこやかに彼は微笑んだ
くそう!憎らしいけど、なんて爽やかな笑顔なの!
「だってまりあさん、俺いっつも言ってるでしょ?」
くるりと花井君の表情が変わった。今度は真剣な顔だ・・・
「俺はいつ、どんな時だって、目の前にいる今のまりあさんが大好きですよ!
それはこれからだってずっと同じなんです
怒ってても、泣いてても、ケンカしてても・・・
たとえ貴女が太ってしまっても、シミだらけで皺だらけになったとしてもね・・・」

ちょっと赤い頬・・・ハニカミながら・・・
でもしっかりと私を両腕に抱きしめながら彼は言った。
ダメ・・・
ダメだわ・・・・
この表情にこのセリフは反則だわ・・・。
胸の奥がキューンと熱くなる
切なくて愛おしくてなんともいえない気持ちになる・・・
どきどきする・・・
私も花井みたいに素直に思いを伝えたい・・・
でも思わず出たセリフは
「・・・花井君・・・いつもながら恥ずかしくないの?」だった
素直になるには年を取りすぎている自分が恨めしい
ああ・・・・可愛くなれないんだなぁ・・・私・・・
「いいんです!だってまりあさん鈍いんですもん!
貴女相手に恥なんかとうに捨てましたよ!!」
とかなんとか赤い顔してモゴモゴ言っている花井君の鼻先にスッとお皿を差し出す
「はい、おかわり」
「えっ!?・・・でもリンゴもうないし・・・」
「冷蔵庫のいちごジャムでいいから・・・パンケーキおかわり!」
なおも皿を差し出す私に
花井君はそっぽを向きながら
「あ・・・でも夕飯だって、さっきたらふくたいらげたばっか・・・」
としらばっくれた
「お・か・わ・り」私はさらにつめよる
「でも・・・・あの・・・・食い過ぎじゃぁ・・・・?」
そう言いながらも、皿をキッチンへ片付けようと立ち上がろうとする花井くん
彼の受け答えは曖昧だが、態度は明白だ。
彼の上着のスソを思いっきり引っ張りバランスが崩れる
「どわっ!」
お皿を割らないよう必死に死守し、尻餅を着いた彼の耳元で
「太っても好きでいててくれるんでしょ?」と
私は囁いた
「は!?」
あ・・・鳩が豆鉄砲くらった表情
「今言ったじゃん!・・・・・・・あれは嘘なの?」
上目線でニッコリと
私は今出来る最高の微笑を彼に見せた
「・・・・・・・・・は・・・はははは・・・・・・」
乾いた笑いしか出ない花井君にさらに追い討ちをかける
「男に二言は?」
「・・・・あ・・・・・ありま・・・せん」
がっくりとうなだれる花井君
勝った!
私はついにこの勝負に勝ったのよ!
(・・・・っていうかいつから勝負になったのかしら?)
「はぁ〜・・・俺って甘いよなぁ・・・」
と呟きながら彼はお皿を持ってトボトボとキッチンへと消えていった
私があの時間が経った不味いリンゴになる日はそう遠くない
でもそんな日が来てももう怖くないわ!
だってきっと彼は・・・
手を加えて私を美味しく魅力的に料理してくれると思うから・・・
そして美味しく食べてくれると思えるから・・・
そう考えるとそんな日が来るのがちょっと楽しみかも!
私の顔から自然と笑みがこぼれた
<終>